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アルゼンチンから
アルゼンチンから更新です。書体デザインコンテスト Letter.2 の審査員として招かれて、きのうブエノスアイレスに到着しました。

さっそく写真入りの記事を更新をと思いましたが、ブログで文章を投稿するところまで数回トライしてたどりつくまで20分。なぜか写真のアップロードはできません。

アルゼンチンで撮った文字のある風景、ドイツに戻ってから更新します。それまでお待ちください。

今日、審査の第1日目がこのあと始まります。
# by type_director | 2011-10-01 04:17 | Comments(0)
秋の空
きのうの夜は、フランクフルトの Alte Oper (旧オペラ座)に、ベートーベンの第九交響曲を聴きに行きました。

コンサートは東日本大震災被災者のための慈善公演で、オペラ座には日の丸の旗が掲げてありました。気持ちの良い一日でした。街灯の後ろには澄みきった秋空が広がります。
秋の空_e0175918_15234919.jpg


こういう秋空を見て思い出す和歌があります。しかも書体デザイナーの視点に近いところが面白いんです。私のふるさと新潟の歌人、會津八一(あいづ・やいち、1881–1956)の歌です。

  すゐえんのあまつおとめがころもでの
  ひまにもすめるあきのそらかな

この歌は奈良の薬師寺の塔のてっぺんにある水煙を詠んだものです。八一の詠んだのは、薄暮時ではなく昼間の深い青い空だったろうと思いますが、たまたま私の頭の中ではこの風景と重なってしまったので。

以下は八一自身による解説の引用です。

「このすゐえんの意匠は寺によって少しづつ違ふが、薬師寺ののは、その網の目のような中に、何人かの天女の群れが、笛を吹いたり、舞を舞ったりしてゐるので、それを、下から見上げてゐると、今日は、よく晴れた日で、その天女の袖や袂の間からも澄み切った秋の空の色が見える……といふのです。」(中公文庫『続 渾斎随筆』176頁より)

フランクフルトで水煙を探そうと思っても無理な話ですが、この写真では、黒い鋳物の唐草で切り取られた秋空の部分をそれに見立てたわけです。
秋の空_e0175918_1532579.jpg


八一は書家でもあったので、余白の形に非常に神経を使っていたようです。彼が水煙の隙間の秋空を見たような視点で文字を見るならば、良い書体デザインがなぜ良いのか、さらにハッキリわかります。

文字のデザインをするときに、文字の形の部分を黒として、背景を白とするならば、書体デザイナーは白い部分を見ます。白い部分の形が美しいことが大事です。

最近の記事の中では、一つ前のヘルマン・ツァップさんの P の内側や、二つ前のグドルンさんの Diotima の n–s–t 間の白の部分に美しさを感じ取っていただけると思います。もちろん、特定の組み合わせだけでなく、前後にどんな文字がきても美しい余白をつくることが肝心で、それが一段と難しいわけです。
秋の空_e0175918_1626474.jpg

# by type_director | 2011-09-25 07:21 | Comments(2)
柔らかさのある輪郭って
柔らかい輪郭を持たせた活字、どうやってるんでしょう。大きいサイズの活字で見るとハッキリ分かると思います。

ヘルマン・ツァップさんも輪郭のデコボコした活字書体をつくっています。この Sistina(システィーナ)がそうです。

これは刷られたもの。
柔らかさのある輪郭って_e0175918_741933.jpg


これが刷られたのと同じサイズの活字。
柔らかさのある輪郭って_e0175918_75356.jpg


活字は縮小拡大ができなかったので、サイズごとに微妙にデザインが違う可能性があるから、同じサイズのものを比べます。
柔らかさのある輪郭って_e0175918_772662.jpg


光の角度を変えてもう一枚。ほら、意図的にデコボコさせているのがわかります。
柔らかさのある輪郭って_e0175918_791964.jpg


Diotima の活字は持っていませんが、同じような処理がされているはずです。
# by type_director | 2011-09-23 00:00 | Comments(2)
Zapf 展 Diotima の輪郭が柔らかさを感じさせる件
きのう日本に上陸した台風15号については、ドイツでも今朝のニュースでとりあげていました。

貴重な作品を貸し出しているツァップさんご夫妻がさぞ心配されているだろうと思い、きょうグドルンさんに電話しました。

作品は無事であることを私からお伝えする前に、グドルンさんから先に「日本のご家族や知り合いの皆さんはだいじょうぶですか」と尋ねられました。ご自分の作品のことよりも先に日本の人のことを心配なさっていたんです。

そのグドルンさんの書体で、金属活字時代の Diotima の制作資料が Zapf展の目玉の一つであるわけですが、オープニングトークなどで言えば良かったなーと思っていることがあります。

大きめのサイズの印字に近寄って見てください。文字の輪郭が滑らかでなく、にじみというかホンワカした柔らかさのようなものを感じさせます。こちらの手元に残した印字物をスキャンすると、こんなふうです。わかりますか? 
Zapf 展 Diotima の輪郭が柔らかさを感じさせる件_e0175918_6141447.jpg


これは、活字の輪郭をわざとデコボコさせて、シャープになりすぎないようにしているんです。

これについては、また別の記事で詳しく書きます。
# by type_director | 2011-09-22 23:00 | Comments(0)
アイスランドからのおみやげ
アイスランドのレイキャビクで開かれていた書体デザイン関係の コンファレンス に参加した同僚から、おみやげをもらいました。「アキラはいろんな新聞を集めてるから買ってきたよ。」

おお、これは読めない。
アイスランドからのおみやげ_e0175918_3512474.jpg

アイスランドからのおみやげ_e0175918_351089.jpg


今回のコンファレンス、私は忙しすぎてパスしました。今月末から一週間の出張なので。
# by type_director | 2011-09-20 19:44 | Comments(2)