今日、Monotype のイベント Type&(タイプアンド)のセッション2の Lauren Elle DeGaine さんの紹介のところで、私が惚れ込んだ花形活字の話を少しだけしました。この写真右のパンフレットは、25年くらい前、私がまだ日本にいたときに手に入れて眺めていた活字見本です。

イギリスまでその活字を買いに行ったということもお話ししました。そのときに撮っていた写真のポジスライドを引っぱり出してみました。1990年代後半のものなので、またフィルムの時代です。
イギリスでは2ヶ所の鋳造所を回ったので、2回に分けます。
まずはシェフィールド市の Stephenson Blake(スティーブンソン・ブレイク)。私の記憶によれば、駅から歩いたけどかなり遠かった。おまけにシェフィールドの街は坂が多く、なかなかたどり着かない。周りはこんな住宅街。


工場のオーナーのトム・ブレイク氏に工場内を案内していただきました。細々とでしたが、まだ活字の鋳造をしていました。広い工場で、鋳造機が何十台もあったのですが、実際に稼働していたのは10台以下だったと思います。


これは、実際に稼働していた鋳造機から活字が出てくるところ。

ファウンドリータイプ、つまり Monotype や Linotype のように鋳造と植字とが同時にできるわけでなく、単純に活字の製造、同じ母型から同じ活字を一本一本鋳込んで出す機械です。活字が雨樋のようなスロープを滑って一本一本出てきます。金属板を雨樋のように曲げてある滑り台部分には、Stephenson Blake のカタログが敷いてありました。活字がへこんだりしないようにですか、と尋ねたら、「活字が金属板にぶつかる音がうるさいから」だそうです。
工場内が薄暗いのでシャッタースピードを速くできず、滑り落ちてくる活字を捉えようとしても白い光の筋になってしまいます。

この後、鉄格子のカゴのようなエレベーターに乗せられて地下室に行くときに、ブレイク氏に「これから墓場(tomb)に行くぞ」と言われて驚いていると、ブレイク氏がにっこり笑って「ボディ(body)の安置してあるところだからね」。つまり活字のボディと死体(body)とをかけたわけです。

これは活字の父型つまりパンチを保管してあるところです。父型は鉄製なので、錆びないようにグリースを塗ったあと厳重に油紙で包まれています。右に「FRY」とあるのはあの Fry の父型だそうです。このときは中まで見ることはできませんでした。
このあと Stephenson Blake が閉鎖になり、私がロンドンの活字博物館に行ったとき、移されたこの戸棚と十数年ぶりに再会しました。
この後、プレストン市に向かい、そこにあった別の鋳造所を訪ねます。
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