きょう6月4日はヘルマン・ツァップさんの命日です。早いもので、もう5年目になります。久しぶりの雨模様の今日、有給休暇をとってダルムシュタットの墓地へお墓参りに行ってきました。
今年は、ヘルマンさんとグドルンさんでお供えの花が二束になってしまったな、と思って花屋さんで白い花を選んで同じものを二つあつらえてもらい、歩いてお墓まで行くと、昨年暮れに亡くなられたグドルンさんの墓石には、まだお名前が刻まれていませんでした。ヘルマンさんの墓石は脇に寄せてあるなどまだ準備中という感じに見えたので、盛り土のところに花束を二束供えてきました。
晩年のヘルマンさんからいただいたものが、うちにたくさんあります。
先日、地下の物置の片付け物をしていて、生前にヘルマンさんからいただいた木活字の箱を久しぶりにあけてみました。文字は全部そろっていません。たぶんどこかの印刷所でもう使わなくなった活字を引き取られたのでしょう。
「H.ZAPF」と組んであるのは、ヘルマンさんが輪ゴムで束ねておいた状態のままになっています。よく見ると Z が上下逆さまです。この木活字には、ネッキ(通常の金属活字でなどで、活字の上下がわかるようにボディ脇に刻んである溝)がついていないので、それで上下を確認できず逆さまになったのでしょう。
スクリプト体の方は、箱の中で輪ゴムが切れてバラバラになっていました。箱にはこの書体の活字はこの四本しかないということは、これも「Zapf」に見えるような組み合わせを取っておいたと思われるのですが、それにしてはベースラインが揃っていないですね。
実は3番目の文字は d です。引き取った活字に p が入っていなかったので、上下逆さにした d で間に合わせたのでしょう。
こんなところにも、ヘルマン・ツァップさんの茶目っ気のある一面が見えます。