いま、アメリカのシアトルに来ています。書体デザインのコンファレンス TypeCon に参加しています。シアトルのランドマーク、スペース・ニードル。
オランダの建築家コールハースの設計による中央図書館。
当然、ここでも町中のサインが気になります。
中央図書館の前にある案内の標識は、偶然ですが、このシリーズの第一回目でコンデンス体の例としてのせた Neue Helvetica Condensed のファミリー。太さは、Bold よりも一段階細い Medium のウェイトを使っています。
コンデンス体に必要な視覚調整が施されているので文字のバランスが落ち着いている。「しっかりしている」感があります。
通行人は、つねに公共サインを見ているわけではないのですが、行き先がこれでいいのかちょっと不安になって方向を確認したいとき、すっと目線を上げてこのデザインの案内が目に入ったら、たぶんすごくホッとすると思う。
そしてこれはもう少し細かい場所案内。
Frutiger Bold Condensed という、別の書体を使っています。これもちゃんとコンデンス体を使っていて、狭い場所に入れても読みやすい。C や S の巻き込み部分が少なくて明るいのも読みやすさにプラスです。
実際に移動のときにこの標識を頼りにしていない場合でも、あちこちでこういう標識に出会うと、「この町を歩いていても迷うことはない」という安心感に包まれるんじゃないでしょうか。そういう移動のサポート役が、ちゃんとオフィシャルな感じを持ってどっしり構えているのって大事です。
世界中を飛び回っているライターの渡部さんが、
こちらのブログでアジアの都市での動き回りやすさの比較をしています。公共交通のサインのことについても言及しています。評価高めなのはシンガポール。