先月、日本でおこなった講演の中で、印象に残った質問がありました。質問には写真が添えてあって、その写真ではイタリアの食材店の外壁にブラックレターで店の名前が書かれていました。いただいたご質問は、ブラックレターはドイツやイギリスの印象が強いのになんでイタリアに使うのか、といった内容でした。
講演の前にいただいていた質問なので、こちらにも画像を準備する時間があり、この写真をお見せしました。そして、信頼感・安定感のイメージを出したい新聞とかではブラックレターがいまだに使われてます、とお答えしました。ここにはアメリカの新聞も、ドイツのもオランダのもフランスのもあります。だから「ドイツのイメージ」とか関係ないわけです。
書体の文字の形から一般の人が感じ取るのは、まず「時代を感じさせる」とか「近代的」みたいな、どの時代を表現するかみたいなほうが多いんじゃないでしょうか。たとえばブラックレターだったら「歴史がある」「古き良き時代の」という表現だったりもするわけで、そこから、信頼感・安定感につながったり、漠然と「古き良きヨーロッパの伝統」だったりすることもあるわけです。
そこで、講演のときは「ディズニーランドのロゴもどちらかというとブラックレター風です」ともいいました。その時はこのアメリカでもらってきたディズニーランドのパンフレットの写真が間に合わなかったのですが、ドイツに戻ってきて探したら、パンフレットあった! 調べたら、アメリカのディズニーランドはいまも同じロゴを使っているみたいです。
ここでは、ブラックレター風ロゴが、おとぎ話に出てくるような「ちょっと昔のヨーロッパが舞台」的な演出に一役買っていると思います。ディズニーランドのシンボル的なあのシンデレラ城だってそんな雰囲気だし、シンデレラのお話に出てくるドレスだって舞踏会だって、町並みだってそう。移動の手段だって馬車とかだし。そんな設定に合うのがブラックレター風ロゴ、ぜんぜんアリです。
上の写真の左上の新聞なんか、ディズニーランドと雰囲気がちょっと近いです。
これはドイツのグラフィック雑誌に載っていた、活字のブラックレター書体。もちろんぜんぜん別の書体ですが、縦画が直線でなく少し丸みを帯びて優しい感じです。これもディズニーランドと近いなと思った。