日本にもたくさんいらっしゃるツァップさんのファン、文字を愛する人たちにおしらせします。
ヘルマン・ツァップさんが亡くなりました。
いま私は、たまたま出張で日本にいます。今回の講演やワークショップで登壇するときに、このバッジを胸につけています。
嘉瑞工房の髙岡昌生さんからたくさんいただいた活字バッジの中から、いろんな書体がある中、ツァップさんのこの書体 Saphir の二つだけを選んで持って来ました。
もちろん、ドイツを発つときには、まさかツァップさんが亡くなるなんて思ってもいません。ほんの数週間前にお邪魔したときは、とてもお元気でしたし、出発の数日前に奥さんのグドルンさんにお電話したときも、元気だとおっしゃっていました。
このバッジを選んだのは、ツァップさんのお力を借りてワークショップでうまく字が書けるようにと願ったこともありますし、ツァップさんといっしょに日本を回るような気がしたからです。
私の人生を変えたのは、ツァップさんの小さな本でした。欧文書体を学ぼうと会社を辞めてイギリスに行ったのは、ツァップさんがそうされたように、カリグラフィーを学ぶところから始めたら、少しはツァップさんのような書体デザイナーに近づくことができるかもしれないと思ったから。
いまこうして望み通りの欧文書体の仕事ができたり、欧文について講演ができたりするのは、すべてツァップさんのおかげです。
ツァップさん、ありがとうございます。ご冥福をお祈りいたします。