こないだ、フランスから私に届いた封筒。Sarah Lazarevic(サラ・ラザレビチ)さんからで、中には彼女の刷った銅版画が入っていました。
切手も、サラさんのデザインです。彼女はグラフィックデザイナーでもあり、書体デザイナーでもあります。そして先月の末に、約4年間を費やした彼女のフォント Rameau(ラモー)が世に出ました!
Rameau プロジェクトは、この楽譜を持った彼女の知人がライノタイプ社を2007年に訪れたところから始まりました。その楽譜のためにわざわざつくったオリジナルフォントで、18世紀に銅版印刷で刷られた楽譜の字にインスピレーションを得たんだそうです。曲はフランスのバロック期の作曲家ジャン・フィリップ・ラモーのもので、書体の名前も彼からもらいました。楽譜の四隅のスカッと切れた斜線もいい。
私はこの書体にもうその場で一目惚れ。マーケティング部長も賛成して制作が始まったんですが、彼女が本業のグラフィックデザインのほうが忙しく、またフォントも合字がたくさんあって、とうとう4年かかってしまいました。
フォントのサンプルは
こちら でたくさん見られます。銅版画っぽい繊細さを持つフォント。ローマン体はピンと張り詰めた緊張感がある。イタリック体は流れるような優雅さがあるけど、甘ったるくない。小文字エルの真ん中にある「とげ」が一種のスパイスになってピリッと効いてます。
サラさんは、普段はパリにいることが多いので、私の本『欧文書体2』のパリの街角の写真で協力してくれました。