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看板職人ジョン・ダウナーさんとの濃い三日間
約二週間滞在した日本からドイツに戻ってきました。今回の出張も濃かった!

10月21日と22日の二日間で行われたモノタイプ社のイベントType& の二日目に出ていただいたアメリカの書体デザイナーであり看板書き職人のジョン・ダウナーさん、トーク後半のデモンストレーションでも期待通りスゴイ技を見せてくれました。

そのジョンさんがせっかく日本に来たんだからということで、その次の23日に都内で看板書きワークショップ、さらに休む暇なくワークショップ終了後すぐ新幹線で大阪に移動、24日に大阪の看板屋さんと腕比べというけっこうハードなスケジュールでした。私もずっとお供していましたが、ジョンさんは筆を動かしていないと落ち着かないくらいのコテコテの職人さんなので、かえってそのほうが性に合っていたみたいです。

24日におこなわれた都内でのワークショップはこんな感じ。
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写真には写っていませんが、この部屋は20人の受講者と4人の見学者でもういっぱいいっぱいでした。

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25日大阪では、大阪の看板屋さん「Kカンバン」の工房で、たこ焼きと肉の焼けるいいにおいの漂う中、板倉さん上林さんと腕比べをしてほぼ半日ずっと書きっぱなしでした。
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ジョンさんは、「観光したい」とか一言も言わなかった。本当に書いているのが楽しい、そのために来たんだという姿勢が伝わってきた。




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by type_director | 2016-10-31 06:57 | Comments(0)
グーテンベルク博物館で Futura の展覧会
本日、グーテンベルク博物館から案内が届きました。

来年2017年は、活字 Futura が世に出てから90周年。それを記念しての展覧会です。
会期は2016年11月3日から2017年4月30日まで。
最初の二日間はシンポジウムも開催されます。

世界のあちこちで見つけた Futura の使用例を集めて掲示するこんなサイトも立ち上がりました。


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by type_director | 2016-10-07 23:27 | お知らせ | Comments(0)
書き方の本コレクション
出張に行くと、なるべく時間を見つけて本屋さんに行き、小学生の使う書き方の本を買ってきます。
左はロシア、右はタイの書き方の本です。
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これは台湾の、繁体字の書き方の本。
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子供が親しみやすいようにという配慮からか、表紙や中身にマンガ風のキャラクターがあるのは、私が持っているいろんな国の書き方教本の共通点。

中身のほうは、日常で使う言葉と文字との結びつきを見せるときに何を例にあげたらわかりやすいか、それぞれ工夫しているんでしょう。

ロシアでキリル文字の特徴のある字を一つ選ぶならこれかな? 例はたぶん国旗かな?
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タイのこの字はお坊さんだと思う。
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台湾のこのページの丸で囲ってあるのは点心のチャーシューバオ。この例は言葉と文字の結びつきで正しいものを選ぼう、ということらしい。漢字の右についているのは、読み方を示す発音記号。
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つぎのページには皿にたくさんのチャーシューバオが並べられていました。
また食べたくなってきた。

先月行った中国では、大人向けのペン習字の教本も買ってきてコレクションに加えました。隷書がある。

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by type_director | 2016-10-07 22:35 | 筆記体 | Comments(1)
欧文の読み方のメカニズム:単語の塊で読む(2)

ひと文字単位で考えるのでなく文字を組んで単語になった状態、つまり集合体としたときに読みやすいようにつくられているのが、文章を組むための欧文書体です。小文字 d や y などの上下の飛び出しと同じように、すごく大事なことなのに日本ではあんまり気にされていないのが、文字と文字との間のリズム感です。

日本語フォントに含まれるローマ字のデザインには、1文字1マスの日本語に合わせて等幅に m も i も正方形の一文字分につくった「全角英字」が備わっています。それとは別に、フォントによっては、全角の半分のスペースに収まる等幅の「半角英字」や字形に合わせた字幅を持った(プロポーショナル)英字が入っています。

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英文などの文章を読むときには、ひとつひとつの文字の形だけでなく、リズム感も大事です。日本語は1文字1マスが基本ですが、欧文のアルファベットは文字の形によって幅が変わります。画数の多い M m などの文字は左右に広く、I (大文字アイ)や i など縦線一本の文字は狭くつくります。

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左から右へ読むときの縦線の間隔に一定のリズムがあって単語の途中で大きな空間をつくらないほうが読みやすいので、mm とふたつ並んだときの縦線の間も ii の間もだいたい同じリズム感に設定します。

残念ながら、そういったリズム感無視の例が、東京の真ん中でもゴロゴロあります。新宿の東京都庁の周りをぐるっと回ったときに気づいたものでは、こんな例が。

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そしてこれは避難場所の情報です。けっこう大事な情報だと思う。


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「neighboring」とかリズム感がすごいことになってます。試しに、MSゴシックの半角英字を使って同じ単語を組んでみた。おんなじだ。

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この違和感、どう伝えれば良いでしょう。

この単語は、同じ掲示板の日本語部分の「近隣」にあたります。英文ではその単語の輪郭がガタガタになっているんだから、漢字の単語に置き換えてみます。リズム感の悪さをビジュアル的に置き換えると…

辶斤阝粦

ですね。欧文のひとつひとつの文字は、単語をつくるパーツです。「パーツごとにわかる=すらすら読める」、と思ったら大間違いです。

どこか日本以外の国で、日本語でのメッセージが「辶斤阝粦」って書かれていたらどう感じますか? 

ちなみに、ちゃんとしたリズム感の書体 Neue Frutiger は、こんな感じです。

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by type_director | 2016-10-01 23:11 | 公共サイン・標識・観光案内 | Comments(0)
欧文の読み方のメカニズム:単語の塊で読む(1)

日本のなかでも、注意書きに英語が添えてある例が増えてきました。

でも、なんとなくギクシャクして読みづらい。綴りは間違っていないのに、一瞬考えないと伝わらない。途中で読みたくなくなってしまう。そんな欧文のサイン表示や注意書き、けっこう多いんです。欧文の読まれ方のメカニズムを知っていれば避けられるミスなんです。


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写真の「Emergency」や「stop」、小文字 g や y、p を切り詰めた形なので読みにくいですね。日本語フォントに含まれるローマ字の典型的なデザインです。

電光掲示板の英字にもなかなかスゴイものが。

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これはデジタルフォントとは違うでしょうが、英字の情報を見る人にとっては、だれがつくっているかとか、アウトライン表示かドットなのかは関係ないですからね。ここでも g や y がかわいそうなことに。

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たいていの日本語フォントに含まれるローマ字は、小文字の g や y などの下に飛び出る部分を極端に短くしているなど、本来のバランスを大きく変えたものが多いです。つまり、それで英語などの単語や文章を組んだら読みづらい。

でも、公共サインや注意書きで英字で文章を付け加えるのは、当然ですが、英語で書かれた情報のほうが日本語よりもわかりやすいという人たちのため。

英字で組まれた文章を読む人は、一文字ずつ識別していくのではなく単語の輪郭の形を瞬時に認識して読むといわれています。そのさいに、単語の大まかな形を特徴づける小文字の d や y などの上下に飛び出る部分は、読み取るきっかけとして必要です。

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上の例は、読みやすさで定評のある欧文書体 Frutiger の改良版、Neue Frutiger です。 小文字 y などの下に出る部分のほどよい飛び出し方に加えて、自然な字形と適切な文字間が読みやすさにつながっています。こちらのブログで書いたように、成田空港第3ターミナルでも使われているフォントです。

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この「Departures」の p と、一番上の写真の「stop」の p と比べてみてください。こっちのは安心感が違う。













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by type_director | 2016-10-01 21:30 | 公共サイン・標識・観光案内 | Comments(0)