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世界 CAPS LOCK の日、6月28日!
6月28日は、世界 CAPS LOCK デイだそうです! キーボードの CAPS LOCK キーの存在について考える日?

これの最初の写真 に注目! 大文字だけで組んだ言葉は、文章の中でそこだけ大声で怒鳴っているみたいに見えます。 私の本『まちモジ』180ページでも似たようなことを書きました。

もちろん、本や映画のタイトルみたいな場合、数単語くらいまでなら全部大文字もアリです。だけど、文章中なんかだとけっこうキツいです。

日本では、地名、日本語の単語、人の名字の部分や会社名は文章中でも全部大文字という例が多いです。
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人の名字については、たしかにリストなどではどっちが名字か分かった方が良い場合があって、そのときには大文字にするのもアリです。でも文章中では、おすすめではありません。読みづらいです。
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じゃあどうすればいいか。

日本語の単語、たとえば omotenashi など海外でなじみの薄い単語は、外来語であることを分からせるためにイタリックにするといいです。英語圏でも普通に使われている sushi、sashimi、ponzu などは、ほかの英語の名詞と同じように、全部大文字ではなくローマン体で標準表記するのが一般化しています。もう外来語扱いじゃなくなっているということです。翻訳家の知人にきいたところ、イタリックかローマンかどっちで表記をしたら良いかの手がかりは辞書で調べるのがいいそうです。

では、人名の表記は、国際オリンピック委員会(IOC)ではどうしているか。
選手の一覧 ページ、左のリストになっている部分では、名字が全部大文字です。でも選手のプロフィール紹介ページでは、どうでしょう。

陸上のボルト選手 バスケットボールのジョーダン選手 の略歴が見られるページで、右側の「MORE ABOUT(選手の名前)」をクリックして出てくる文章中では、名字は一般的な固有名詞の表記、つまり最初だけ大文字ですがあとは小文字です。「何が何でもどちらかに統一」というやり方でないのはスマートだと思います。

世界 CAPS LOCK の日は、あと10月22日も!
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by type_director | 2014-06-25 00:19 | Comments(6)
根拠のあいまいなもう一つの伝説:Rotis について
Rotis(ローティス)という書体があります。Rotis Sans SerifRotis Semi SansRotis Semi SerifRotis Serifの4つからなるユニークな書体ファミリーです。これまで、特にぴったりの使用例とか見つからなかったので、このブログではここで初めて取り上げます。

自分が撮った写真のなかから探したら、私がここドイツで加入している健康保険のニュースレターの使用書体が2009年に Rotis から Frutiger Next に変わったときに比較のために残しておいたのがあった。奥が古いニュースレター、手前が2009年に新しくなったもの。
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同時に便せんもレイアウトを一新して、この保険会社のイメージは、「やや堅い雰囲気」だったのが「親しみやすい」に変わりました。

私は、それまでの便せんに Rotis でびっしりプリントアウトされた連絡のこういう文章を見るたびに「あんまり読みやすくないな」と感じていました。
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なので、その変更は私的には大歓迎だったのですが、記事としてとりあげるほどのことも無いかなと思って、そのままにしておきました。

ずいぶん前に、私が日本の講演で欧文書体について話をしたとき、講演のテーマでは取り上げていなかった Rotis について、会場の人から質問がありました。質問の途中で「Rotis に惚れ込んでそればかり使っているドイツの著名なデザイナー」(私は知らなかった)の話が入ってくるなどして長くなり、私には質問の内容がわからなくなってしまいました。

きちんとお答えしたいと思って、質問を繰り返していただいたのですが結局は2回聞き直してもわからず、会場の空気も気まずくなり、他にも質問の手が上がっていたので、時間を有効に使うため、最終的には Rotis のデザインから受ける個人的な感想をお話しして次の質問に移りました。会場に来ていた知人も、やはりその質問の意味が分からなかったと言っていました。とにかく、そのやりとりは長かったのですごく印象に残っているわけです。

そのあとで、日本のタイポグラフィ関係の書籍に書かれていた、Rotis のデザイナーのアイヒャー氏が「カソリックとプロテスタントの対立を取り除く目的」のようなことを述べたという話を読んだとき、その質問のことを思い返しました。あれは、Rotis のそういう逸話みたいなものを求められていたのか? だとすると、私のは期待外れな答えだったかもしれません。

そのあとで、そのコンセプトを私が知らなかっただけなのかと思って、アイヒャー氏の著作『Typografie』を同僚から借りて読んでも、Rotis のデザインについて宗教的な話はどこにも書かれていない。同僚にも私の周りのドイツ人デザイナーにもそんな話を聞いた人はいない。変だなと思っていました。

私の友人の立野さんが、やはりそのことをおかしいと思って独自に調査した結果をまとめています。 この記事「Rotis の間違った記述」 です。日本で「アイヒャー氏が言った」と思われている話を、ヨーロッパでアイヒャー氏をよく知る人に尋ねた結果が書いてあります。この記事は賞賛に値します。

「言った」とされるものごとを「言ってなかった」と証明するのは難しいんです。一つ前に書いた私のブログ 「ここにもFutura」 でやっていることよりも、はるかに難しい。「ここにもFutura」は、ドイツやイスラエルでは「使われない」はずの書体のことを、「ほら使われてますよ」と実例を見せるから比較的楽です。

Futura の噂が広まったのも、この Rotis についての話も、「書体には宗教性や民族性が深くまとわりついている」のような思い込みがあるからなんでしょうか。そんな「欧米で通用しない『欧文の常識』」が日本では多すぎで、それについては私も見つけたら「違うよ」と言っておこうと思います。

欧文タイポグラフィは、ほんとうは笑って話ができる世界なんです。書体の価値を、出所の怪しい話で下げたり上げたりするより、線の質とかスペーシングとか、そっちに神経を使うほうがいいですよ。
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by type_director | 2014-06-22 20:16 | Comments(0)
Futura 都市伝説の調査から10年!
これは、こないだ引き出しを整理したときに出てきた、ドイツの10マルク紙幣とペニヒ硬貨。
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紙幣には、1920年代にデザインされた書体、 Futura (フツラ)が使われています。
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信じられないことかもしれませんが、10年前の日本では、 Futura には、「ナチスのイメージがまとわりついている書体」「ドイツやイスラエルではタブー視されている書体」というような都市伝説があったんです。ドイツでは、こんなふうに20世紀後半にも紙幣としてちゃんと使われていたのに。

今から10年前、雑誌『デザインの現場』で私が書体デザインについての記事を書いていて、読者に向けて質問を募集したときに寄せられたうちの一つが、Futura についての質問でした。その噂話が日本で広まっていたのを知らなかった私は、質問してくれたデザイナーにあてて、「Futura 書体について今調べております」とメールしました。それが2004年6月23日。

そのあと数日間のメールを読み返していたら、そのときに何をしたかを思い出しました。

メールを出した直後に講演のためスペインのバレンシアに行く用事があって、スペインから戻った6月30日の報告では、金属活字の Futura を当時まだバルセロナで製造していたバウアー鋳造所のハートマンさんに講演会場でお目にかかって直接尋ねたこと、いっしょに講演をしたヘルマン・ツァップさんにも尋ねたことが書いてある。お二人も、Futura とナチスとのつながりの話は事実と違うという意見だったので、噂がまったく事実無根であることに確信を持ち始めます。

その翌週、2004年7月の最初の週には、国際タイポグラフィ協会のイスラエル代表の方からも、「そんな話は聞いたことがない」という返事のメールをいただいてました。イスラエルからも、そんな事実のないことが裏付けられたわけです。同時にベルリンの図書館にも連絡して、関係資料をあたりました。こんなふうに、興味を持って調べ始めると、たくさんの人たちが手間を惜しまず協力してくれるのがうれしかった。

その調査結果は、『デザインの現場』で記事としてまとめました。その記事の PDF は、 こちら からダウンロードできます。記事が消え去るのはもったいないといって、友人の立野氏が、許可を取った上で、こういう形にしてくれました。

それから10年経ちました。

別の私のブログ 「ここにも Futura」 では、使用例をたくさん見ていただこうという目的で、ここドイツやヨーロッパで見た Futura の写真を中心に随時アップデートしています。

都市伝説は、もうなくなったでしょうか?
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by type_director | 2014-06-21 13:01 | Comments(0)
Calcite と Clifford の使用例
デン・ハーグの町で見つけた。私の書体 Calcite (カルサイト)を使ったお店のロゴです。
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これは、その翌日フランクフルトで見つけた。私の書体 Clifford (クリフォード)を映画のタイトルに使った例です。
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by type_director | 2014-06-14 16:37 | 小林章の欧文書体 | Comments(3)
手を動かすこと
オランダのデン・ハーグにある王立芸術アカデミー(KABK)。
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ここでは、書体デザインを教えるコースがあって、毎年12人の学生に教えています。去年に続いて今年も、コースの先生たちに混じって学生の書体の講評をする役目を任されたので、6月12日と13日の二日間行ってきました。今年はたまたま受講生側の事情があってコースの人数は8人になっていましたが、粒ぞろいの8人です。

6月12日は朝7時半の列車でフランクフルトからデン・ハーグへ。昼過ぎに到着して、コースの先生たちといっしょに名物のニシンの屋台でお昼を食べ、お学生たちのプレゼンテーションを聞きます。そのあとで、コースの主任教授を始め先生たちで生徒ひとりひとりへの指導方針を相談。私もそれに加わります。天気が良かったので、外に出て中庭のテーブルを囲んで座る。

これは中庭での会議の前。青空です。こういうところで会議するんだからオープンで良いです。会議のあと、教室に戻って学生を集め、それぞれのプロジェクトが進むべき方向について伝えます。
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翌13日は、私一人で学生さん全員を担当。ひとりひとりに書体デザインについて助言しました。もともとレベルの高い学生への指導だから、とうぜん細かい部分の質問も受ける。11時ころから始めて、全員へ助言が終わったのが1時半、でも疲れるどころか楽しくてしょうがない。お昼を食べるのを危うく忘れるところでした。

レベルが高いのにはわけがある。コースの前半で、徹底して手を使うから。受講生は、目の前にあるコンピューターを数ヶ月間使えず、紙と筆やペンしか与えられないのです。

良い曲線とは、良い形とは何なのか、そういうことがわかるようになるには手を動かして自分でつかむようになるのが大事、と私は思っています。12日の夕食の時間、手を動かすことの重要性について、コースの先生の一人エリックと話しました。エリックもまったく同じ考えで、手さえ動かしてアイデアを見える形にできたら、専門外の分野の人にも伝えることができる。そのスケッチを見た技術者に伝わり、その技術者たちが協力してくれて実現につながる。実際そういう例はたくさんあるという話をしてくれました。

これは書体デザインだけでなく、グラフィックデザインについても言えること。日本の美大の一部では、どうかすると本を読んだ知識とか理屈が先行するきらいがあるけど、そんなことじゃ世界で通用しないと思っている。こないだ見てきた北京や香港の学校のほうがずっとしっかりしていた。

手で何ができるか、そこが大事なのだということをわかって、それを続けている学校は強い。それをこの二日間で確認しました。そういうことを日本でも繰り返し言っておく必要があるなと思います。

書体デザインコースの教室の壁。
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by type_director | 2014-06-14 06:41 | Comments(0)
オランダの住居番号
オランダから更新です。

デン・ハーグにある王立芸術アカデミーで学生の書体の講評をするために来ています。
朝、時間があったのでぐるっと散歩。この街は、住居の番号で良いのがあるんですよ。

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by type_director | 2014-06-13 15:46 | Comments(0)
イケてる? サッカーW杯ユニフォーム
ドイツに戻りました。

サッカーW杯で盛り上がる中、ドイツのストリートファッションデザイナーが参加国チームのユニフォーム(ドイツ語で Trikot)のデザインを Top(イケてる)・ Flop(イケてない)に分けて紹介してます。 こちら 、ドイツの雑誌『Spiegel』オンライン版です。

評価が高いのはアルゼンチン、アメリカ、日本、クロアチア、スペイン、イタリア。そして日本チームのユニフォームを「間違いなく私の選ぶトップ5のひとつ。色の組み合わせも良いし、堂々としている」と書いてます。

ドイツのユニフォームについては、「このデザイン過剰のユニフォームは理解できない。赤の三階調はどこから来た? 谷形についても意味がわからん」と辛口です。
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by type_director | 2014-06-05 07:28 | Comments(0)