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ダイソンの使っている書体は
2週間ほど前、うちの会社のサポートを通じて、お客さんからの問い合わせで「dyson」ロゴに近いデジタル書体がないか探してくれというのでこの Horatio (ホレイショ)をおすすめしました。あのレトラセットから出ていたデザインです。

「dyson」ロゴの書体は近いけど同じではない。 d が柔らかい印象で、y も下が開き気味で明るい印象です。けっこう上手くアレンジされて仕上げられてるなーと思いました。

そうしたら、家でいままで使っていた P 社の掃除機が壊れてしまった。いままでのは重かったし、設計が悪くて、掃除の途中で掃除機本体を持ち上げようとすると時々間違ってゴミがたまる部分を取り外してしまうし、この機会に新しいのを買うことに。

それで、ダイソンで小さいのがあったよなーと思い出して買ったのがこれ。きのう届きました。重さは前のが8キロあったので、3.5キロのダイソンは軽くて掃除しやすい。音の大きさは前のと同じくらいかダイソンのほうが小さい気がする。

ロゴ以外の部分では Futura を使ってますね。この下の写真の「5 year guarantee...」とか。
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パッケージも取扱説明書もぜんぶ Futura でした。
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これ、同じ記事を私の別のブログ「ここにも Futura」 にものっけようと思います。

「Futura はナチスの書体」なんてとんでもない噂が日本で広まっていたので海外でのたくさんの使用例をお見せしようと始めた「ここにも Futura」も、もうじき3周年です! 最近更新サボり気味でしたが、ちょっと盛り上げていこうかな。
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by type_director | 2010-04-27 21:04 | Comments(0)
味のあるサンセリフ体
自転車で散歩していて見つけた、給水施設跡です。ユーゲントシュティルとアールデコの混じったようなサンセリフ体がイイ。装飾的なAが独特です。こういうデジタル書体ってないなー。
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前の記事で書いた Metroblack の制作は1927年からはじまったとライノタイプのサイトに書かれていました。Futura の最初のウェイトは1928年発売だそうです。
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by type_director | 2010-04-27 20:15 | Comments(7)
あのハンドクリーム? みたいな
ちょっと前に買った本の表紙です。
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このタイトルは、日本語にしたら「Niveau は手肌クリームのことじゃないよ」。遊び心が面白かったのでこの本は即買い!でした。中身は、ドイツの日頃の会話の中で出てくるふざけた言い回しを集めたような本。こういうの、なんて言うんだろう。ダジャレともちょっと違うし。

Niveau(ニボー)はドイツ語で社会や文化の水準っていう意味ですが、あのハンドクリームの名前に近い単語なので…って、しゃれをいちいち説明するのはやめて、書体の使い方に注目です。

この色と書体の使い方で、ニベアクリームを連想させるというわけです。ちょっとアールデコ感のあるサンセリフ体は Metroblack (メトロブラック)。Futura でなくて MetroBlack を選ぶところがウマイね。Futura Bold(下)はこの太さになると V、A の先端部分が平らに処理されてるから、ニベアのロゴっぽく見えないんです。
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ドイツっぽい書き文字風の書体は Amazone (アマツォーナ)です。実際のニベアクリームのスクリプト体はもっと柔らかい。

ニベアブランドの担当のデザイナーがこのスクリプト体のアルファベットへの展開をした話、どっかで読んだなー、どこだったかなー。
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by type_director | 2010-04-24 05:20 | Comments(0)
Berthold Garamond
Stempel Garamond(ステンペル・ガラモン)が人気だったという話を3月末に書きました。

一つ前の記事、Klang を使ったチーズの広告を見つけたスーパーマーケット Edeka のチェーンで展開しているハーブティーのパッケージの書体が Berthold Garamond (ベルトールド・ガラモン)のイタリック体だったので、うれしくなって買ってきました。 Medium Italic かな。Stempel Garamond とも Adobe Garamond とも違う。

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数年前に亡くなられた巨匠、G G ランゲ氏の1972年のデザインです。Stempel Garamond 同様、ドイツ人がドイツの書体メーカーでつくった Garamond です。ランゲさんとは一度だけお話ししたことがある。

これも Garamond のリバイバル書体の仲間ですが、かなり近代的に整理されてます。とくにイタリックはだいぶ硬めな感じがしますね。z とか。なんか硬い表情のランゲさんの顔が浮かんできちゃうようです。

昔からライノタイプのライバルだったベルトールド、いまは こんなふう にベルトールドの書体もライノタイプの窓口を通じて買うことができるという時代になりました。
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by type_director | 2010-04-21 17:28 | Comments(2)
Klang
あるスーパーマーケットでレジのところに置いてあった広告に、「へー、珍しいな」という書体があったのでもらってきました。英国のウィル・カーター氏が1955年にデザインした Klang (クラング)です。彼はカリグラフィもできたし文字も彫ったし自分で印刷もしたし活字のデザインもした。

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どうってことのない、当たり前のようなデザインですが、見れば見るほど味のある書体。主張しすぎないんだけど、小文字の c、 e の終筆部の小さなペンの返りがキラリと光る。うまいねー。

もちろん、原図はペンでさらっと書いたようなものでなく、厚紙にしっかりとポスターカラーみたいなので描いてある。実際、たまたま去年その原図を見てきたんです。ロンドンの Type Museum に去年行ったとき、これの原図が展示してありました。

このチーズはスイス産。広告はドイツのスーパーマーケットです。英国のカリグラファがつくった書体ですが、しっくり合ってますね。書体には、とくにその国や文化圏の色を濃く出すためにつくられたものもありますが、そういうのはごくわずかです。たいていは、この Klang のようにどこの国でも使えるんです。

ちなみに、Klangってドイツ語では「音・響き」という意味です。英語では調べても出てこなかった。
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by type_director | 2010-04-18 17:53 | Comments(2)
「元の金属活字に忠実な」(2)
「元の金属活字に忠実なデジタル化」の話題でもう一つ。

19世紀ごろの活字書体をスキャンしてデジタル化したフォントのシリーズがあります。入っているのはアルファベットの A から Z と数字、ピリオドとコンマとハイフンくらいで、その他の文字はほとんど無いという徹底したこだわり方。考えようによっては「手のヌキ方」とも言えるか?

アクセント付きの文字とか¥マークとか期待しないでね、みたいなスタンスです。そういうのも使う側が最初っから分かっていればアリかなと。

これは、その Archive Type(アーカイブ・タイプ)シリーズのほんの一例。
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フォント一覧は こちら
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by type_director | 2010-04-14 17:33 | Comments(0)
書体のリバイバルについての講演
二つ前の記事では「元の金属活字に忠実な」というテーマで書きました。

4月10日、大阪で行われたモリサワフォーラムで、世界的な書体デザイナーのマシュー・カーターさんがそれに近いテーマの話をされたそうです。その内容が Ustream で見られます。

マシュー・カーター氏の講演「タイプ・リバイバルのダイナミズム」、シマダタモツ氏とカーター氏の対談(あわせて約1時間40分)はこちら

カーター氏の講演は、雑誌『Newsweek』用に制作した書体など、読むサイズによって文字のデザインを変えている例が出てきて、そのデザインを比較しているスライドがいいです。リバイバルの意味についてカーターさんが語るところも必聴です(56分ごろから)。後半の対談ではシマダさんがみょうに緊張気味です。

カーター氏、浅葉氏、葛西氏のトークセッション「僕たちが文字に魅了されるワケ」(約1時間40分)はこちら。最初の浅葉さんのパフォーマンスがおもしろい。葛西さんの話も。このお二人が出ると、トークショウがいきいきしてきます。

司会進行役の宮崎氏の「紙以外のメディアが多くなってきて、文字は変わっていくのでしょうか」という質問に対してのカーターさんの回答(1時間26分ごろから)もいいですね。

情報を提供してくれたのは、「デザインの現場」姉妹ブログ「これ、誰がデザインしたの?」の宮後さんです。
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by type_director | 2010-04-11 21:54 | Comments(0)
Neue Frutiger Condensed 発売
昨年夏に発売の Neue Frutiger に引き続き、フルティガーさんといっしょに字形の大幅な見直しをした、 Neue Frutiger Condensed (ノイエ・フルティガー・コンデンスト)が発売になりました! この改刻に1年半かかりました。

このブログでも報告していたとおり、ときどきベルンに行ってフルティガーさんと共同制作で進めていて、今年1月いっぱいに制作が完了しました。こちら のサイトに、フルティガーさんとの仕事の模様もちらっと出てきます。

下の図版でわかるとおり、徹底的に見直して、徹底的に良くしました。

こんなふうに、C はよりコンパクトになりました。昔の Frutiger Condensed が灰色、Neue Frutiger Condensed が実線。
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カーブの部分は、昔の Frutiger Condensed (左)は四角張っていて Frutiger らしさがあまり無かったんですが、Neue Frutiger Condensed (右)はカーブがスムーズになっています。こっちのほうが Frutiger らしい。
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太いウェイトになると、昔の Frutiger Condensed (左)は線がぜんぜんきれいでなかった。Neue Frutiger Condensed (右)はカーブをぜんぶやりなおしました。
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by type_director | 2010-04-10 10:33 | Comments(0)
「元の金属活字に忠実」ということ
セミナーで、こういう質問を受けたことがあります。

「元の金属活字に忠実なデジタル化」というフォントが少なくて、「○○の活字をベースにした」というフォントが多いのはなぜか。

その時は、時間が限られていたので、数百年前の欧文書体に関して言えば、「元の金属活字に忠実な」というだけでもすっごく大変なことだという話をしました。活字そのものが残っていなくて印刷物が参考資料で、その印刷物が刷られたときに間違った活字が混入していて、それをオリジナルと勘違いしてデザインの元としてしまった書体もある、という例を紹介しました。

ちょっと前のこのブログの記事でも、他ならぬカスロンの活字見本に別の書体が混入したりしている例がありましたよね。

金属活字は、ライノタイプやモノタイプなどの自動鋳造植字機が19世紀末に発明されるまでは、使ったら版を崩して活字をケースに戻してまた使ったんです。だから別の字のところに返しちゃったらそれを使って組版されちゃうわけで。ライノタイプやモノタイプの場合は版を壊したら活字はまた溶かして地金に使います。

引き出しの中から、Hoefler Typefoundry (現 Hoefler & Frere-Jones )のフォントのフロッピディスクが出てきました。それでこの記事を書こうと思ったんですが。
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この Fell (フェル)フォントは、最初のバージョン。私が日本にいた1996年12月に買ったものです。そのころは、「元の金属活字の印刷物をスキャンして忠実にデジタル化した」というふれこみでした。

元の金属活字には含まれていなかった文字や記号は入っていません。買う前にそれについて質問したところへフラーさんから手紙がきて、それによれば「改良(improve)ではなく記録(record)が目的です」とある。

つまり、¥ や $、@ なんか入っていなかった。元の活字がつくられた時代(1690年代)には存在しなかった記号ですから。気を利かして付け足しちゃったら、それは「元の金属活字に忠実」でない。

だからカーニング(特定の文字の組み合わせの調整、たとえば To の間を狭くするなど)機能もこの Fell フォントにはありませんでした。ストイックなまでに「元の金属活字に忠実」が徹底していた。

でも、同じ手紙には、「やっぱり記号をつくり足して、カーニングも備えてバージョンアップしようと思う」とも書いてあった。さすがにこのご時世でアットマークとか無いのはダメだろうと。それが1997年に出た Version 2.0。

ちなみに、当時の書体の値段って高かったなー。請求書も残っているので値段を見ると、その他の二つの書体といっしょの「Historical Allsorts」パッケージで199ドルでした。
(追記:いまの値段も同じ199ドルです)
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by type_director | 2010-04-10 09:47 | Comments(0)