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カテゴリ:書体見本マニア( 9 )
ノイエ・ハース・グロテスクのカタログ
あの Helvetica(ヘルベチカ)が1957年に発売された当時の名前、ノイエ・ハース・グロテスクの活字カタログを休み時間に見ていました。製造発売元ハース社のカタログ類です。
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制作の過程で何種類も試作をしたこととかが書いてある。これはスペーシング(字と字との間)のテスト。3番目を選んだと書いてある。
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発売から数年後、ノイエ・ハース・グロテスクがヘルベチカと名前を変えたときのカタログ表紙。
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Helvetica と書いてあって、その横にアステリスク。下の方を見ると、注で小さく「ノイエ・ハース・グロテスクと同じものです」と書いてある。
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by type_director | 2015-07-05 14:25 | 書体見本マニア | Comments(2)
チョコレートと活字の意外な関係
前の記事のホウロウ看板の本で、ちらっと写っていた 「Fry's」の看板。
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別のホウロウ看板の本にも、Fry's チョコレート屋さんのがあります。イギリスではけっこう有名だったらしい。
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調べたら、ワットの蒸気機関を使ってカカオ豆をひくのを始めたのは、ここの3代目が世界で最初だそうです。そのチョコレート屋さんの創始者は Joseph Fry (1728–1787)で、ブリストルでチョコレート屋さんを立ち上げていますが、そのあとで活字鋳造所も始めます。

そこの1785年の書体見本シート。
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シート裏面。こんなちっちゃい活字もつくってた。
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「This is the smallest letter in the world」って誇らしげに書いてある。Diamond というのは書体名ではなく、「ポイント」という単位でシステム化される前の、昔の活字サイズの呼び名です。約 4.5 ポイント相当。この見本を出した当時は世界一だったかもしれませんが、あとでもっと小さいのが出てきます。

ここの鋳造所のつくった装飾活字で、良いのがあります。これなんかけっこう有名です。
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Fry の母型を受け継いだ Stephenson & Blake が20世紀半ばに出した見本帳。この活字のデジタル版では、良いのがない気がする。

11月24日追記:「良いのがない気がする」は、単に私の調査不足でした。知り合いからのメールで、ここでお見せした活字のデザインにわりと近いデジタル版があることがわかりました。この二つなんか良さそうです。

Fry’s Ornamented(リストにはあるけれど販売はしていない)
Pomfrit Dandy NF
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by type_director | 2013-11-03 21:31 | 書体見本マニア | Comments(0)
スイス 紙の博物館で見つけた書体見本
7月26日、27日とスイスのチューリヒに出張でしたが、28日は普通に出社して、29日はスイスのベルンに日帰り出張でした。朝六時に出発。フルティガーさんに会ってきました。

これは出張の帰り道、同僚とバーゼルで立ち寄った 紙博物館
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館内では手漉き紙のデモンストレーションなどもやっていましたが、上の階では印刷関係のコーナーも充実していました。ライノタイプの鋳造機もありました。
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うれしかったのは、書体見本も展示してあったこと。でもガラスケースに入っていて中身は見られない。
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このうち、Mistral(ミストラル)の見本は、まったく同じものを持ってます。
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by type_director | 2010-07-31 08:25 | 書体見本マニア | Comments(4)
書体見本マニア7:イギリスの印刷所の見本
書体見本には2種類あって、ひとつは書体メーカーの出すカタログや販売促進的なもので、たいていは分厚くて重い。書体ごとに小冊子にするのもあるけど。もうひとつは、特に活字時代によく見られた、活版印刷所の書体見本。「うちではこういう書体を取りそろえていて、書籍組版に対応できます」という意味合いのもの。小ぶりなのが多い。

手元にある中から、第二次大戦前のイギリスの印刷所の見本を3冊並べてみました。このうち、一番右の W S Cowell のはとくに見ていて楽しい。
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表紙もきれいだし、中身も良質な印刷の組み見本があって、その書体で組むとどういう雰囲気になるかが一目でわかる。簡単な書体の解説もあって、この書体 Plantin の場合、「コート紙の印刷に理想的」と書いてある。そういう書体の選び方ってあったんだ、というオフセット世代には新鮮な驚き。活版の時代は紙との相性もけっこう重要でした。そのためにいろんな書体をそろえていたという見方もできる。
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目次を見ると、当時の一流の活版印刷所がそろえていた書体がわかります。
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by type_director | 2010-06-09 18:04 | 書体見本マニア | Comments(3)
書体見本マニア6:Underware の新書体 Liza
書体見本が届きました。『欧文書体2』でもインタビューした Underware から、新しいスクリプト体 Liza (ライザ)。大きく「Say No」って書いてある。写真じゃうまく伝わらないかもしれませんが、この蛍光ピンクが Underware っぽい。
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by type_director | 2010-05-02 16:25 | 書体見本マニア | Comments(3)
書体見本マニア5:Italian
友だちからのメールで知りました。
新潟の懐かしい味をテレビで特集していて、その中に「イタリアン」という新潟市のソウルフードとも言えるわけのわからない食べ物が1位で紹介されていたそうです。去年新潟に帰省したときも、B級グルメブームで流行っているらしいと聞きました。

太めのソース焼きそばのようなものにトマトソースがかかって、フォークで食べます。味についてはうまく表現できないんですが、こちらのサイト左側の「イタリアンって何?」でちょっと想像できるかも。

私が高校生のころはファストフードというものが無かったので、仲間と外でなにか食べようとすると、そういうのしかなかった。「イタリアン」というネーミングがせいいっぱいのおしゃれだった昭和の味です。イタリア人がその「イタリアン」を食べたら、「違うだろ!」って言うに決まってます。だいたいモヤシとかショウガとか入ってるし...。

書体のスタイルでも、19世紀に「イタリアン」なるものがありました。

19世紀の印刷物を見ているとたまに出てくる、太いところと細いところが逆になった、いわゆる「逆転の発想」セリフ書体。でもスッゴク読みにくい。イタリアの人がこれで文章を読んでいたとは思われない。1900年以後の印刷物になるとほとんど見かけなくなります。

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これもイタリア人から「違うだろ!」と言われそうです。
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by type_director | 2010-03-15 01:48 | 書体見本マニア | Comments(2)
書体見本マニア4:Caslon その後
カスロン活字のその後。

なんでいちばん上の「ABCD」の行の A だけカスロンっぽくないのか。となりの B とベースラインも揃わない。別の種類の活字じゃないか。
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家にある、これに関連しそうな文献を5冊あたってみたけど、どこにも書いていなかった。

イギリスでそれにいちばん詳しそうな人に聞くしかない。その人には2007年の ATypI 会場で久しぶりでお目にかかって、二日連続で朝食も同席させてもらって、その時も私からいろいろ尋ねました。もちろん、今回の件では「これこれの本を見ても書かれていなかった」と、私なりに努力をしたことは伝えました。

その日のうちにていねいな返信メールがあり、印刷史研究会の会報に少し関連したことが書いてあると教わりました。文章を書いたのもその人です。

その会報は家の本棚にある。手がかりがあった喜びと同時に、恥ずかしさで冷や汗も。今から40年以上も前の論文で、家に戻って開いたらちゃんと書いてあった。答えは40年以上前に出ていたのにそこまで調べなかった詰めの甘さを反省しました。

メールによると、

「1741年のカスロンらしくない A は、この印刷を請け負ったところが活字を損傷したか何かして、別の A に取り替えたのではないか。なぜカスロンに活字をもうひとつもらわなかったか、なぜカスロンもそれについて何も言わなかったか、は謎だ」

でも、このメールがきっかけで、他にもこういう調べ物をもうひとつ同時にやっています。それについては現在もやりとりを続けていて、面白い展開になるかもしれません。

こういうことに夢中になっているうちに、いつの間にかオリンピックが終わっていました。フィギュアスケートが盛り上がったらしいというのは聞いたけど観ていない...
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by type_director | 2010-03-07 20:04 | 書体見本マニア | Comments(2)
書体見本マニア2:Caslon
金属活字、ていうかオリジナルのほう。いまも世界中で使われている書体 Caslon のもとです。

ウイリアム・カスロンが1720年に活字の製造を始めて、最初に出した書体見本が1734年で、そのときは所在地が Ironmonger-Row となっていたけど、これは Chiswell-Street になってからもので、1741年の見本シート (525x390mm)。

私がイギリスで勉強していたときに知り合った本屋がこれを最近入手して、私のところに連絡が来て即注文。先週届きました。
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古いのになると、うわーきれいだなー、だけで済まないところも悩みというか楽しみというか。

「なんだこの A は?」とか考えちゃうわけです。
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いちばん上、A SPECIMEN と組まれた部分の A と、その2行下の ABCD の A とが全然違う。どちらも Five Lines Pica(現在の72ポイントに相当)の活字なのに。SPECIMEN の C は ABCD の C と同じだけど、A は別の活字みたい。並び線も合ってないし。

前から持っている方の、1771年の本(画面右下)の綴じ込み付録として入っているカスロンの見本帳と比べる。1771年の方の ABC...では A が直してある。
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じゃあ1741年の A はどこからきたのか? 文献を調べなきゃ、あの人に聞かなきゃとか考える。余計な仕事が増えるなー。けっきょく嬉しいんだけど。
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by type_director | 2010-02-16 06:19 | 書体見本マニア | Comments(0)
書体見本マニア: Solemnis
2月8日の「ニューオーリンズ・セインツのロゴ」という記事を書くときに、書体 Solemnis(ゾレムニス)の書体見本あったよなー、と本棚を探したらそのときは見つからなかったけど、別のファイルに入っているのを思い出した。

あった。これこれ。Berthold の1950年代の見本帳。もちろん金属活字です。うまいね表紙が。
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T の字に2種類あるんだけど、縦棒がまっすぐな方は、あとで急いでつけ足したのかな。この青いのは上から貼り付けてある。まっすぐな方は「ローマン体のフォルム」、曲がった方は「アンシャル体のフォルム」と書いてある。
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青い紙以外の見本帳全体がアンシャル体のほうで組まれています。
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デジタルフォント版 Solemnis にはちゃんと両方入っています。
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by type_director | 2010-02-14 10:44 | 書体見本マニア | Comments(3)