私が書いている別のブログ、「ここにもFutura」がきょうでちょうど10年です。
ブログを始めるきっかけは、最初の記事から抜粋すると、こうです。
「Futura(フツラ)という欧文書体があって、他のサンセリフ書体 Helvetica(ヘルベチカ)や Frutiger(フルティガー)、Univers(ユニバース)と同様に世界中どこに行っても使われているんですが、日本では Futura について『ナチスを連想させる書体』だとか、『ドイツやユダヤ人社会では使用に注意』などというとんでもない噂話が広まっているようです。」
「それ(Futura の海外での使用例)がたった1枚の写真でも、日本の方に安心してもらえるみたいなんです。それならいっそ Futura の使用例のスクラップブックみたいなものをつくって、身のまわりでどれだけ頻繁に使われているかを記録してみようと思いつきました。」
それから、あちこちに旅行や出張で行くたびに、Futura の使用例を撮っては記事にしてました。それらの記事を、ざっと振り返ってみようと思います。
まず2009年6月の記事から。
「休暇で行ったフランスのストラスブール。この街は、 欧州議会・欧州人権裁判所 が置かれていることでも知られています。最近新しくなったストラスブール駅。旧駅舎をすっぽりガラスのドームで覆ってあります。この、いわばストラスブールの玄関でお出迎えするのが Futura。」
2013年8月の記事は、フランス中部の町 Troyes(トロワ)です。
スイスでも。2008年6月の記事です。
「5月23日から25日まで、アドリアン・フルティガーさんの誕生会のためにベルンのホテルに泊まっていました。そこのホテルではロゴが Futura でした。」
2007年11月の記事から、ニューヨークで見た風景。
2014年8月、アメリカのワシントンDCから更新した記事は、TypeCon という書体デザインのコンファレンスの話。Futura の活字見本について話があり、とうぜんですが、「ナチスの書体だ」とか「ドイツやイスラエルでタブー」のような話は、講演者からも会場からも出ませんでした。
そして、その「ドイツやイスラエルでタブー」と噂されたイスラエルからもこのブログに協力してくれる人がいて、このあとでリンクを張るインタビューにも答えてくれたしイスラエルでの使用例も送っていただきました。2008年10月の記事から。
他に協力してくれたみなさんにも感謝です。
雑誌『デザインの現場』での私の質問に答えてくれたみなさんも、ありがとうございます。そのインタビュー記事は転載の許可を取っているので、こちらで全文が見られます。
書体が特定の国やイデオロギーの象徴になる、などという考えはセンセーショナルで広まりやすい。でも、書体にそんな特別な意味はないんだよ、普通に使って良いんだよ、という話には意外なところがないので広まりにくいんです。これからも時々は欧米の新たな潮流の話をおりまぜながら、普通のことは普通に伝えようと思います。
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