ブリティッシュ・ライブラリーの一室に展示してあった、ギリシャ語アンシャル体で書かれた『Codex Sinaiticus』をじっくり見ていました。
T や Y などの行頭の揃え方が、腕の部分を見ないで幹で揃える、つまり縦画の部分を K や M の左の縦画と揃えるという方法をとっていて、それが不自然に見えなくてむしろスッキリして見えた。なんでこんなに潔いんだ!って感心していたんです。
案外、このようなやり方はヨーロッパでは見かけるんです。
去年フランスで見たテレビ番組のタイトル。「めざましテレビ」というような意味だと思う。このロゴの T は、同じ揃え方をしています。
でも、揃って見えるかどうかは微妙。骨太のサンセリフ体でやると、何が違うのか。いろいろ考えた結果、活字と手で書いた字は見え方が違う気がする。
たとえば、鉛筆でスケッチをして良いなと思った字の形をデジタルに起こすときも、デジタルで白黒の境界線がハッキリしてしまうとぜんぜん別に見えたりします。
手で書いた字は自然な「ゆれ」があるから、揃えても整然としすぎない。なんとなく揃っているような揃っていないような中間のところにあるんだと思う。それをハッキリしたしかも太い線で表すと違って見えるんだろう。
ここで使った『Codex Sinaiticus』の図版は
こちらから引用しました。