Stempel Garamond は、1920年代にドイツの活字会社 Stempel が出して、活字の時代からけっこう評判が良くて、いまでもドイツでほとんど毎日見かける。
これは、私が持っている、活字時代の Stempel Garamond 見本帳。
11月前半に出張で行っていた日本では、いろんなところでフォントの話をしてきました。参加者の話を聞くと、まだまだ「Garamond はフランスの国家的書体だから他の国で使うととんでもないことになる」みたいな都市伝説に振り回されている人がいるようで、そのたんびに、全然違うよって説明してきます。このブログでも時々言っとかないとダメかな。
国によって使うべき書体がキッパリ分かれるなんて思っている人は、実際にヨーロッパに来て、ヨーロッパの国々が陸続きだって実感することをオススメします。ドイツの真ん中から車で何時間か走れば、フランスとかベルギーとかオランダとか、接しているほとんどの国に入ってしまいます。
家族でよく行くフランスなんかは、国境を越えてもしばらく町並みとか木組みの家の造りとかがドイツのそれと大して変わらないし、たいていの店でドイツ語が普通に通じます。だいたい、国境だって20世紀半ばまでと今と違うし。
そういう「陸続き」感がわかっている人ならば、また、ドイツの活字会社 Stempel が質の良い Garamond を出していた、別のドイツの活字会社 Bauer が見事な Bodoni を出していた、ってことも知っている人ならば、「どこそこの国家的書体」なんていう作り話は信じられないはずです。