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インセプション
ロスアンゼルスの TypeCon での仕事を終えて、ドイツに戻りました。私の仕事は、書体デザインを持ち寄った人に対してマシュー・カーターやジョン・ダウナーと私が助言をしてあげるというもの。これがけっこう周りに観衆が集まるんです。

ロスアンゼルスでは、最後の晩に映画『インセプション』を観てきました。せっかくハリウッドのそばなんだから映画の一本くらい観て来なきゃ、というこじつけっぽい理由ですが、コンファレンス期間中泊まっていたホテルのすぐそばには MGM とか 20th Century Fox とかのビルが建っていたし。

映画『インセプション』最後近くの場面で、ロスアンゼルス空港が出てきます。ディカプリオさん扮する主人公コッブの後ろにぼんやりと写っているのは「Welcome to Los Angeles」の文字(だったと思う)。ロスアンゼルス空港がサイン表示に使っているフォントはぜんぶ Helvetica でした。
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私もロスアンゼルス空港に到着したときにたまたま撮ってました。ピンぼけですみません。けっこう薄暗いところにありました。映画に出てきたのは入国審査のところにあるもっと大きい白い文字でした。
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ちなみに、映画の中に出てくる若い女性の登場人物が、なんか見た目はかよわそうなのにすごいパワーを持っている「アーキテクト」なんですが、その役名が Ariadne(アリアドネ)でした。

ヘルマン・ツァップさんの奥さんのグドルンさんも書体デザイナーですが、彼女がつくったフォントにも同じ名前のがあります。 Ariadne です。スワッシュ(シュッという飾り)がついている大文字だけのフォントなので、イニシャルとして一文字だけ使うとイイです。あとの文字は Diotima とか Palatino とか。Ariadne だけで単語を組むと読みにくいし、並びもうまく揃いません。

このサンプルでは、グドルンさんと私が共同で制作した Diotima Classic Light Italic と合わせました。スワッシュのついた大文字は Ariadne で、残りは Diotima Classic。

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もともとはグドルンさんのカリグラフィ作品ですが、それを Ariadne と Diotima Classic でつくったサンプルです。グドルンさんに見せたら喜んでいました。

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太い字は Diotima Classic Heavy です。
by type_director | 2010-08-29 08:03 | Comments(2)
Commented by marengo at 2010-09-27 23:53 x
初めまして。ブログのエントリー、いつも楽しみにしております。

さて、小林さんのブログを読んでいて最近気づいたのですが、英単語の前後は必ず半角スペースを空けていらっしゃいますね。あと、数字は全角を使用されていますね。なるほど、とっても読みやすいと思います。書体のデザイナーとして、読み手のことを配慮されているところにプロフェッショナルとしての姿勢を感じます。

過去に女子美で行われたTDCのイベントで小林さんのプレゼンテーションを拝見しましたが、スライドで見せる絵と喋りで伝える情報のバランスの絶妙さに感動しました。これからも頑張ってください。

(どこにコメントしようかと迷いましたが、自分が以前住んでいた Los Angeles に関するエントリーにコメントさせていただきました)
Commented by type_director at 2010-09-28 04:20
marengo さん、コメント有り難うございます。なんか細かいところまで見てくれてうれしいです。Los Angeles に住んでたんですか、ほんとにいいところですね。