カスロン活字のその後。
なんでいちばん上の「ABCD」の行の A だけカスロンっぽくないのか。となりの B とベースラインも揃わない。別の種類の活字じゃないか。
家にある、これに関連しそうな文献を5冊あたってみたけど、どこにも書いていなかった。
イギリスでそれにいちばん詳しそうな人に聞くしかない。その人には2007年の ATypI 会場で久しぶりでお目にかかって、二日連続で朝食も同席させてもらって、その時も私からいろいろ尋ねました。もちろん、今回の件では「これこれの本を見ても書かれていなかった」と、私なりに努力をしたことは伝えました。
その日のうちにていねいな返信メールがあり、印刷史研究会の会報に少し関連したことが書いてあると教わりました。文章を書いたのもその人です。
その会報は家の本棚にある。手がかりがあった喜びと同時に、恥ずかしさで冷や汗も。今から40年以上も前の論文で、家に戻って開いたらちゃんと書いてあった。答えは40年以上前に出ていたのにそこまで調べなかった詰めの甘さを反省しました。
メールによると、
「1741年のカスロンらしくない A は、この印刷を請け負ったところが活字を損傷したか何かして、別の A に取り替えたのではないか。なぜカスロンに活字をもうひとつもらわなかったか、なぜカスロンもそれについて何も言わなかったか、は謎だ」
でも、このメールがきっかけで、他にもこういう調べ物をもうひとつ同時にやっています。それについては現在もやりとりを続けていて、面白い展開になるかもしれません。
こういうことに夢中になっているうちに、いつの間にかオリンピックが終わっていました。フィギュアスケートが盛り上がったらしいというのは聞いたけど観ていない...